【読書メモ】『1億3000万人のためのeスポーツ入門』

この本を手にとっている人は恐らくe-Sports市場で何かしらのビジネスを起こしたいと思っている人がほとんどだと思う。
だけど単順にe-Sportsジャンルのゲームが好きで趣味でプレイしている人から、選手を応援している人など、ビジネス観点ではなくe-Sportsを楽しんでいる人にこそ手にとってもらいたい本だなと思った。
1億3000万人のためのeスポーツ入門
引用)1億3000万人のためのeスポーツ入門 表紙
遊んでいるゲームや応援しているチーム、選手がどのようにして運営されているのか。
e-Sportsに携わっている人たちの思いやバックグラウンドを知ることで、チームのスタンスに共感したり、ゲーム運営側の仕様変更の意図を推測できるようになったり、よりe-Sportsを深く楽しむことができるだろう。

バズワードと影

これだけe-Sportsがバズワードになっている一方で、日本のe-Sports産業の実態はまだまだ黎明期を抜け出せていない。

2018年、グローバルのe-Sports市場規模は9億ドル(約1,000億円弱)の市場規模になった。

つまりグローバルに対しての日本e-Sportsシェアは5%も満たない
伸びしろがいっぱいあるのだ。
しかしビジネス界隈から着目されているe-Sportsがこの波に乗り切れないと、単なる流行ワードとしてシュリンクしてしまう可能性もある
AIブームが第一次、第二次を経て現在の第三次につながっているが、一度注目されなくなるとその分野はしばらく地下に潜ってしまうのだ。
だからこそ、この火種をしっかり生かしていくことが大事だ。
それはビジネスマンや選手、チームだけが向き合うものではない。
むしろ一般のプレイヤーやオーディエンスがより深くe-Sports自体を楽しむことこそ、ブームで終わらせない鍵になる。
そしてe-Sportsと深く付き合える人が増えれば増えるほど、市場は成長するし、より面白い環境になっていくだろう。
そんな循環に向けて『e-Sportsを楽しむためのコンパス』の役割を本書が担ってくれるだろう。

Rush Gamingのスタンス

様々な観点で書かれている本書の中でも、自分に一番刺さったのはRush Gamingの西谷麗氏が語る営業スタンスの話だった。

▼ラッシュの営業方針
・私たちの活動、経営理念、社会的意義を理解してくれるパートナーと組むこと
・自分たちの価値、数字を正当に説明し、水増しをしないこと
・値段は自ら決め、安売りしないこと
・パートナー枠はしぼること(最大6枠、年間で1~2枠程しか増やさない)
・投資に見合う価値を必ず返すこと
・自分たちが良いと思うプロダクト・ブランドしか扱わないこと
ラッシュは、いわゆるスポンサー、協賛にあたる企業を、パートナーと呼び、事業を共にすることを特に重要視しています。特に、経営理念と社会的意義に関して、共感し共創しあえるかどうかが最も重要です。

Rush Gamingのスタンスは一言で言えば「共創」のスタンスである
単にお金をベースとしてパートナー企業と関係を作っていないことが素晴らしい。
彼らのビジョンに共感してくれる人たちと市場を一緒に作っていくという気概が感じられる。
先日、『DeToNatorは革命を起こさない』を読んだのだが、その中でも同じような話がでていた。
お金ベースで終わってしまう短期的な関係性にリソースを割かず、中長期的に腰を据えて価値提供を相互にできるパートナーとだけ深く付き合っていく。
立ち上がりの市場の中では喉から手が出るほどお金の話は食いつきたくなるところだが、そこをぐっとこらえて本質を捉え続ける胆力がすごい。
彼らのような人たちがトップにいるからこそ、練習/大会/実況/イベントなど多忙なスケジュールに追われる選手の希少な時間が有意義に使われ良い循環がチームに生まれるのだろう。
個人的に良かったRush Gamingの話を抜粋したが、本書ではe-Sportsを様々な切り口から捉えることで、その全体像の理解を促している。
アナリストの但木一真氏をはじめとし、メディア運営をされている謎部えむ氏、プロゲーマーのlive氏、プロゲーミングチームの代表である西谷麗氏、TVプロデューサーの佐々木まりな氏、弁護士である高木 智宏氏と松本 祐輝氏などバライティに富むメンバーが本書のコンテンツを担当している。
冒頭にも述べたが、ビジネスマンだけでなく、e-Sportsを楽しんでいる人こそ手にとって欲しい本なので、プレイヤーやオーディエンスの人たちも是非ポチッて欲しい!
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