【読書メモ】『すいません、ほぼ日の経営。』 / 川島蓉子、糸井重里

クリエイティビティの発揮を求められる機会が増えていく中で、「心理的安全性の担保」「ティール的な組織運営」「羊飼いのリーダーシップ」など新しい組織やチームのあり方について語られるようになって久しい。

この『すいません、ほぼ日の経営。』 では、「ほぼ日」のクリエイティビティの源泉となる経営方法について、上記のような流行りのマネジメントワードではなく、糸井さんの独特な語り口調で紹介されている。

すいません、ほぼ日の経営。

「スペック」や「情熱」の競争を避ける

本書の中で良いなと思ったのが、”「スペック」や「情熱」の競争を避ける”という話。
目に見える性能や競合のシェアを意識するような「スペック」や無理な予算目標で社員に負荷をかける「情熱」を志向しない経営スタイルの話だ。
経営やマネジメントする側からすると、どうしても数字という目に見える安心感を得たくなる。
しかし目先の数字を目的とせず、より本質的な価値提供を目的としてドッシリと構えているからこそ、社員が生き生きとクリエイティビティを発揮できるのだ。

トップが目的に対して強い意志を持っていないと、どうしても目先の数字に動揺しがちになり、悪い意味での朝令暮改が増え、なかなかクリエイティビティが発揮できる組織にならない。
本質的な目的に向かって、環境を整え信頼し見届ける胆力が大事。

「あいつも呼ぼうよ」という採用基準

この言葉のチョイスは感覚としてわかりやすくて刺さった。

「どこか旅行に行こう、遊びに行こう」というときに、「あいつも呼ぼうよ」と呼ばれる人がいますよね。その「あいつ」が、うちがほしい人です。

会社のカルチャーにマッチした人を採用しようとしたときに、会社の中の人達から「あいつも呼ぼうよ」となれそうな人材を見つけられれば、その会社のカルチャーはより素敵なものになっていきそうなイメージが湧いた。

「良い」「悪い」ではなく「好き」「嫌い」

物創りをしている会社として、すごく共感する話だった。

「いい」「悪い」で判断するようになると、みんながどんどん同じになります。なぜかというと、「悪い」より「いい」を選ぶからです。だから、「いい」「悪い」で判断しなくていいんです。
「好き」と言っているものは、やっぱりどこかに魅力の分量がたっぷりとあります。

ただ、簡単に「好き」「嫌い」を決めるのではなく、「じぶんがなにを好きと言っているのか」ということを、ものすごく考えることが大切です。
「どうして好きなのか」「どこが好きなのか」を、じぶんと仲間に問い続ける。
クリエイティブは、ひとりの人間が本気で「好き」「嫌い」の正体を探っていくところから生まれます。これは、忘れてはいけないことだと思っています。
商品を出すときも、「売れるかなあ」ではなくて、「これは売れるぞ、もう売れるに決まっている!」というものをつくる。なんとかそこまで持っていくようにするんです。

「いい」「悪い」は客観性であり、ロジカルシンキングの延長だから同じインプットをしていれば同じアウトプットにたどりついてしまう。
人の心を動かすような新しい価値観を提供するためには、やはり創り手の「好き」という感情を最大化させていくことでしか、突き抜けて良い作品/プロダクトは生まれてこないなと。

組織に変化をもたらしたいけど従来型のトップダウンのマイクロマネジメントから抜け出せないと悩んでいる人にゆるい形のアプローチを教えてくれる本としておすすめです。

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