【読書メモ】『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』 / 明石ガクト

自分は音楽でも動画でも情報量が多いコンテンツが好きだ。
そんな自分好みの情報量の詰め込みをしているのが「ONE MEDIA」だ。

特にこの動画の情報量の詰め込み方がド・ストライクだ。
受け手の情報処理量を超えるぐらいの情報の波で、感覚を麻痺させに来る感じが良い。
音楽で言えばcosMo@暴走Pの『初音ミクの消失』のような、圧倒的な情報量の多さ。

昔の映像や音楽を聞くとなんだか「間延び」しているように感じることが多い。
それは僕らの情報処理能力があがっているというとポジティブかもしれないけど、実際には情報過多の生活をしているために刺激慣れしてしまっているという側面が強い
しかも日々情報過多に慣れていくことによって、より情報密度が高いコンテンツを欲していくような感覚の麻痺をもたらしている。

この情報過多の中でヴィジュアル化して物語を伝える技術が大事になっていくということを本書『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』で述べられている。

動画2.0 VISUAL STORYTELLING

圧倒的な現在(リアル)を横目に、インターネット 黎明期 の頃からテキストサイトに慣れ親しんでいた大人たちは「いや、テキストにはテキストの良さというものがあってだな」みたいなカビの生えかけた言葉で諭してくる。
まずは、そのドヤ顔の鼻っ柱にカメラのレンズをめり込ませてやろう。
テキストが主体だったTwitterですら、今や動画のプラットフォームへと変わりつつある時代に、ヴィジュアル化を無視することは不可能だ。

自分のiPhoneのスクリーンタイムを見たって、半分以上の時間を動画メディアで費やしていた。
さらに5G/VRなどのインフラが整ってくれば、さらにその波は加速していくことは間違いない。
ではそんな時代にどんなコンテンツ創りをしていけばよいか。
そのヒントを情報密度をキーワードにしてい本書は伝えてくれている。

YouTuberのファン、特に小さい頃から夢中になっている小学生や中学生は、テレビ番組を観ていると「かったるい」「CMまたぎで同じこと繰り返すのがいやだ」「何で最初から再生されないの?」というようなことを言うそうだ。
これは時間に対する情報量が濃いものを若年層が求めているということを示唆している。
この本では、その尺度を「Information Per Time = IPT」と呼ぶことにする。
ITPが薄いコンテンツを、若年層は忌避する。

まさにこの情報密度=IPT(Information Per Time)を極めていくことが、今後のコンテンツ制作の鍵を握るのだろう。
流行ってるYoutuberはみんな喋りと喋りの間をカットして情報密度を高めた編集をしているように、もはや間延びしたコンテンツは受け入れられないのだ。

YoutubeのUI/UXを見たってそれは明らかだ。
スマートフォンでYoutubeで動画再生しているときに右側をダブルタップすると10秒スキップができる。
この10秒スキップはすばらしい情報密度を与えてくれている。
なぜなら過去型の間延びしたコンテンツでもスキップ体験することで、今風の情報密度で再生することができるからだ。

これは動画に限った話ではなく、様々なジャンル/カテゴリーのコンテンツでさらに情報密度/IPTを求められる時代になっていくだろう。
オーディエンスの限界を見ながら情報密度を調整し、刺激の波を与え続けられるかということが可処分時間の奪い合いの勝ち負けに大きく関わってくるのだ。

本書を読むまで明石ガクトさんを知らなかったのだけど、全編通してエモーショナルに訴えかける本だった。
これからのコンテンツ業界で食べていこうとする人は手にとってスキルとエネルギーの両方を得られる良書だ。

「自分はプロになれなかったから」 「趣味は趣味のままの方が幸せだから」 こんなのは、全部どうでもいい言い訳だ!
君がこの先、仮想通貨でもバーチャルYouTuberでもマグロ漁船でもなんでもいいけど、巨万の富を得たとしよう。
それでも君は、死ぬ直前に後悔するかもしれない。本当にやりたいことから逃げているからだ。僕は、やりたいことをやりきって、死にたい。そして、君にもそうであってほしい。
「君たちは何ものだ?」

タイトルとURLをコピーしました