【読書メモ】『起業のエクイティ・ファイナンス』 / 磯崎 哲也

株式調達は単なる資金調達ではない。
多くの関係者を巻き込んで利害関係をすり合わせやる気を引き出させるものである。

起業して株式による資金調達を行うシチュエーションに出くわす機会は人生でそんなに無い。
でも様々な利害関係者に対して、共通の目標に向かうための動機付けをしなければならない、という立ち位置の人は多いはずだ。
そういった人が本書を読んでみることで新しいインセンティブ設計の参考になるかもしれない。

起業のエクイティ・ファイナンス

エクイティ・ファイナンスと株式

エクイティ・ファイナンスとは、株式などを使ったファイナンス(資金調達)のことです。銀行からの借入れがデットのファイナンスと呼ばれ、資金調達すると負債(debt)が増加するのに対し、エクイティ・ファイナンスはエクイティ(自己資本、純資産、株主資本)が増えることになるファイナンスです。

『起業のエクイティ・ファイナンス』 / 磯崎 哲也

エクイティファイナンスの中でも『株式』という仕組みはチャレンジする人のリスクを下げ、応援する意味合いがある。

1602年のオランダに世界初の株式会社「東インド会社」が生まれた。
『株式会社』という仕組みは画期的な仕組みだった。
様々なリスクがつきまとう航海という事業を1事業主が背負うには荷が重かった。
そのリスクを様々な人たちが一緒に背負い、一緒にリターンを得られる仕組みにしたことが画期的なのであった。
銀行からの借り入れなどデット・ファイナンスを行うリスクを背負うような仕組みだけであったら、現代のようにチャレンジをする人はほとんどいなかっただろう。

『株式』の本質は、リスク分散によるチャレンジャーの応援だ。

株式によるインセンティブ設計

本書では、色々な規則やシチュエーションに基づいて株式による資金調達のルールを最適化することでその関係者に適切な動機付けをするような指南をしている。

ベンチャーの場合、この「ステーク」とは、株式(エクイティ)のこと であり、ステークを持っている人というのは、株式やストックオプションを持つ創業者や従業員、エンジェル、ベンチャーキャピタルなどの投資家のことになります。
株式(エクイティ)を使ったファイナンスは、単なる「お金を調達する手段」ではありません。
企業に関わる経営者、投資家、従業員、提携先などにステークを持ってもらうことで、そうした関係者のやる気を引き出すためのツール なのです。

つまり、ベンチャーに関わるさまざまな利害関係者の「心の動き」「インセンティブ」を考える必要がある のです。

『起業のエクイティ・ファイナンス』 / 磯崎 哲也

本来であれば、同じ目線に立って会社を大きくしていけるはずなのに、適切な契約がされていないと色々な問題が表出する。
上場ゴールで早くリターンを得たい投資家ともっと腰を据えて事業に取り組みたい起業家など歪な契約構造で生まれる不幸は多々ある。
そういった不幸を防ぐためにも起業の初期段階から本書のような先を見据えた契約の調整が必要になる。
本書では社内起業の事例や一度株式シェアを失った起業家の例など様々なケースに対応している。

本書を読んでいく中で、このような契約をもっと会社と従業員やリーダーとメンバーの間でもフレキシブルにできるようになると世の中のやる気の総和があがりそうだなと感じた。
持ち株やストックオプションなどの制度はあるが、会社単位であり柔軟性がない。
賞与以外の形でプロジェクト単位や目的単位のリスク分散&インセンティブ設計ができるようになるとより柔軟な活用ができるなと。

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