【読書メモ】『超スピード文章術』 / 上阪 徹

文章を書こう!とすぐにテキストエディターを開いてしまう人に「ちょっと待て」と物申してくれるのが本書だ。
書きながら「あーでもない、こーでもない」という書き方をしている限り、要領良く文章を書くことはできない。
文章を書き始める前にしっかり準備をしておくことが、スピード感を持って文章を書く秘訣だと本書は教えてくれる。

では具体的に準備とは何を指しているのか。

スピード文章術のプロセス

① 書く目的と読者を定める
② 素材を集める
③ 素材を組み立てる
④ 一気に書ききる
⑤ 見直す

だいたいの人はいきなり原稿用紙やパソコンと向き合いはじめる。
つまり書きながら頭の中から素材を引っ張りだしたり、構成を入れ替えたりするのだ。
そういった書きながら考える型のプロセスは出戻り作業が多く発生する。

こういった出戻り作業を発生させないためのプロセスがこの①~⑤のステップだ。

① 書く目的と読者を定める

当たり前のことではあるが、まずは文章で表現したいゴールイメージを明確にする。
文章であるからには『読み手』が存在しており、その『読み手』に『何を感じてもらいたいか』というところまで深掘りすることが大事だ。
その文章における目的が定まることによって、後工程の素材集めや構成、執筆、見直しのタイミングでの意思決定の軸が生まれる。

本書では『読み手』を身近にいる友人や知人の中から「1人」を選んでみることを推奨している。
仮想の人ではどうも受け取り方が書き手都合になりがちだ。
具体的な「一人」を選ぶことでリアルな反応を想像しやすくなり、書き手の独りよがり感を減らしてくれるのだろう。

②素材を集める~③組み立てる

目的が決まってもまだ書き出してはならない。
次に行うのはその文章に必要な素材を全て洗い出すことだ。
予め伝えたいメッセージに対して必要な素材を出し切ることで、組み立て作業をスムーズに行うことができる。
素材が出し切らないタイミングで組み立て~執筆を行うと、後工程で「やっぱりこのエピソードを挟みたい…」などと出戻り作業の原因になりやすい。
多く集めた上で優先順位を付けながら削るぐらいでちょうどいいと本書に書かれている。

ちなみに素材というのは大きく分けて3パターンある。

1.「 独自の事実」
2.「 エピソード」
3.「 数字」

ユニークな着眼点とそれを伝えるエピソード、根拠付ける数字、これらの素材をストックしておき構成することで文章ができあがる。

文庫本1冊がだいたい10万文字と言われるが、10万文字書くのではなく、2,000文字程度の素材×50章というような感じで考えると本の執筆のハードルも下がると本書は述べている。

④一気に書ききる~⑤見直し

素材の構成が終わったらようやく書き出す。
このタイミングまできたらまずは書ききることに集中する。
全て書ききったタイミングで見直しすることで全体感を見ながらの推敲が可能になる。
個別ではなく全体で見直しをすることで文章のテンポ/リズム感の良し悪しもわかってくる。
個別の文の最適化を行っても結局全体感と合わないと再度修正することになる。
そういった出戻りを防ぐ意味でもまずは書ききってしまうことが大事なのだ。

読みやすい文章を書く7つのポイント

素材を集めてガッと書ききったあとは、読み手を意識して読みやすい文章にしていく。
その際に参考になるのがこの7つのポイントだ。

①一文を短くする(60文字以下目安)
②スラスラ読める「リズム」を作る
③「 」の強調使用
④順接の接続詞を使わない
⑤逆説の接続詞で展開を生む
⑥難しい日本語を「翻訳」する
⑦リアリティを意識する

このようなポイントの中で特に「リズム」に対しての言及が面白かった。

「ですます調」の文章の中に「である調」の文章を 適度に織り交ぜることでリズムを作る、ということもよくやっている。

一般的な公の文章講座ではこの2つの書き方の混在はNGとされているケースがほとんどだ。
しかし敢えて混在させることでリズムを作り出すことができるそうだ。
(ちょっといきなりやるのは違和感あってハードルが高いが…)

文章以外でも必要なプロセス

「目的をたて、素材を集め構成し、創って見直す」というプロセスは文章だけではなく、様々なコンテンツや計画をたてていくプロセスと同じだ。

文章を書くという身近な行為だからか、そういったプロセスをなぁなぁにしてしまうことが多い。
でもそこで立ち止まって、一旦「準備しよう」と切り替える習慣が付けばスムーズに文章をかけるようになる。
さらにそういった習慣がつくことで、文章以外のコンテンツを作るときや計画を立てていくときの要領の良さもあがっていくのだろう。

文章を書くという観点だけでなく、そういった抽象度の高いフレームワークという意味でも本書はオススメだ。

『超スピード文章術』 / 上阪 徹

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