【読書メモ】『新・所得倍増論―潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋』

デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論

母国が素晴らしい実績を持っているというのは誇らしいものだろう。
しかし、ときにその実績が人の認知にバイアスをかけ、冷静に事実を受け入れさせられなくしている。

1945年の8月15日から荒廃した日本が「東洋の奇跡」と呼ばれた高度経済成長を経て急速に成長したという実績は、今でも「日本はやればできる」という根拠の無い空気を生み出している。
失われた20年から30年に移ろうとしている今、不死鳥のように蘇ってきた奇跡に対して、冷静になって振り返ることが日本の再興の参考になるのではないだろうか。

本書では、高度経済成長は「人口」増えたから生産力が上がっただけの話で、日本人が優秀だったからではないということをデータに基づいて教えてくれる。
「日本人の質が高かった」「日本人が優秀だった」というわけではなく、単純に「日本人の人口が急速に伸びたために経済成長した」という物量的なアプローチであったわけだ。
これを本書では「人口ボーナス」と呼ぶ。

本書では様々な領域において、国全体の総額である「生産高」と人口で割った一人頭にした「生産性」を比較していきいる。
そうすることによっていかに日本という国が「人口ボーナス」によって成長してきたかという事実を明らかにしている。

1億人を超える人口大国・日本の世界ランキングが高いのは当たり前のことです。「1人あたり」で測れば、日本の潜在能力が発揮できていないことは明白です。まだ日本は成長の伸びしろがあるにもかかわらず、この「勘違い」によって、成長が阻まれているのです。

生産性改革が叫ばれて久しいが、本当に持ってる潜在能力が発揮できているのかを確認するためには、絶対数の生産高ではなく「一人あたり」の指標で見ることが大事だ。

2017年 世界の名目GDP

画像引用元)https://ecodb.net/ranking/imf_ngdpd.html

2017年 世界の一人当たりの名目GDP

画像引用元)https://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html

2017年の実質GDPランキングでは日本は3位ですが、一人頭に換算すると25位になる。
日本の一人あたりの名目GDPをざっくりドル円110円レートで計算すると、約423万円程度になる。
一人頭に換算された付加価値金額を追っていくことで本質的な生産性を見ていけるだろう。

1位のルクセンブルクと比較すると生産性では3倍近く離されているが、それは逆にそれだけ生産性の改善幅があり、つまり「伸びしろ」だと本書は指摘している。
2017年の日本の人口は1億2,476万人程度とされていますが、2065年では8,808万人になると言われている。
「人口ボーナスが日本の経済成長を牽引していた」と言われたあとに、半世紀弱で人口が70%下がると言われると暗澹とした気持ちになる。
ただ日本の現状の一人頭の生産性の低さを「伸びしろ」と見るのであれば、絶望する数時感でもないのかもしれない。

『新・所得倍増論―潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋』 デービッド・アトキンソン

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