【読書メモ】ズレずに生き抜く/山本 一郎

右肩上がり経済成長の終わり、年功序列×終身雇用制の崩壊、少子高齢化、もらえるかわからない年金、子育てと介護の板挟みなど、考えれば考えるほど暗澹とした気持ちにならざるを得ない日本社会。
そんな世の中の暗い現実を身も蓋も無い表現で突きつけてくるのが本書だ。

高齢化社会
引用)いらすとや

この本には意識高い”系”のビジネス本に出てくるような処方箋はでてこない。
斜陽国家の息苦しさから逃れようとしてもお手軽な万能薬はないのである。
いっそ気休めの言葉でも欲しくなるぐらいの気分になるが、それでも山本一郎氏は甘い言葉を添えてはくれないのである。
みんなが求める「安定」は、ただ物事の本質を見誤ることをせず、努力し続けることでしか得られないのである。
たぶん「ズレずに生き抜く」というのはそういうところから来ているのだろう。

本書では仕事から世代論、家庭の話など多岐のテーマがあるが、中でも炎上案件の話が面白かった。

炎上案件を鎮火させる5つの要素

1.「そもそも自分たちは何をしたかったのか?」というテーマの確認
2.「燃えているけど、このプロジェクトはどうしても完成させなければならないのか?」の意志決定
3.「そのうえで、追加のリソースはどのくらい確保できるのか」という見積もり
4.「このリソースで求められているテーマを実現させるには何が必要なのか?」という優先順位の決定
5.「今回はとりあえずこれを作るけれど、将来この先に何かやるべきことはあるのか?」という拡張性の有無の合意

おおよその炎上案件は、やはり「目的」のズレから生じてくるものが多いのだろうなと。
なんのためにやってるか目的が浸透していない形骸化したプロジェクトが、責任所在不明のまま回り続けることで火の車になるのである。
だから目的に立ち返って一つずつ整理していくことが炎上鎮火の最短コースになるんだなと。

単純な話、ドキュメントの見直しから仕様の仕切り直しまで、炎上しているプロジェクト参画者の皆さんが4ヵ月、5ヵ月かけて右往左往しているモノでも、消火活動慣れしてしまうと2週間ぐらいでだいたい整理がつきます。
変な言い方ですが、人間真面目に考えてきちんとヒヤリングして整理整頓していけば、およそ 10 営業日以上かけて収拾がつかないものなどないのです。

プロジェクトは経営者の人格

だいたいの炎上案件は経営者の朝令暮改の嵐から生まれているのだろう。
そういった意味でプロジェクトは経営者の人格を映す鏡という表現はしっくりきた。

プロジェクトというのは会社の社風、ひいては経営者の人格そのものだと思います。
スピード命でタイミングよく事業展開を進めたいと考える経営者が、何を犠牲にして前に進もうとするのかがハッキリ分かるのが新規プロジェクトなのです。

先進性を 謳うはずの経営者が型落ちのパソコンに古いOSを入れて技術者をこき使っていたり、曖昧な指示を出して思ったような成果が上がらないと部下の責任にしたりする事例が後を絶たないのは、万能ではない人間が不得手なことをどのように他人に任せるのかという非常に根本的なところにみなウィークポイントを抱えているからに外なりません。

プロジェクトがうまく推進できていないときは、意思決定者が踏み込みきれていないことも大いにある。
口では大きなことを言いつつも、軽いかすり傷を負わなければならないタイミングですら及び腰になっている器では大きなプロジェクトは推進できないのだ。
意思決定者が自ら率先垂範で姿勢を見せなければ、現場に「しらけた雰囲気」が蔓延し、誰のためになるのかわからないプロジェクトが進行し続けてしまうのだろう。

『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』 (文春e-book) / 山本 一郎

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